流星の下で〜千尋サイド〜
 千尋は全ての仕事を終えて、今、道臣と二人で自室にいた。

 道臣が千尋を自室にまで尋ねてくるのはとても珍しいことだ。

 それだけに千尋には道臣が何か大切な話をしようとしているのだということがよくわかっていた。

 だから、二人の間の空気は少しだけ張り詰めている。

「珍しいですよね、こんな時間に道臣さんが訪ねてきてくれるなんて。」

「失礼かとは思いましたが、ゆっくり人払いをしてお話しするにはこうするしかなく…。」

「わかります。なんだかんだでけっこう忙しくて、時間がとれなくてごめんなさい。」

「いえ、私の方こそ無理を申しまして……早速ですが我が君。」

「はい、なんでしょう?」

「王が即位なさってから早一年が経ちました。まだまだ整備すべきことが多くはありますが、国もかなり平和を取り戻したかと思います。」

「そうですね、みんなが頑張ってくれるから。」

「そこで、そろそろお考え頂きたいのです、その……夫をお迎えになることを…。」

 千尋は道臣に聞こえるのではないかというほど激しく息を呑んだ。

「このような話を突然、申し訳ありません、ですが、この国の将来を担うお方をもうけて頂くことは王としての大切な仕事の一つとお考え頂き……。」

「……。」

「その……皆、わかってはおります。王が…その……か、風早のことでいまだお心を痛めておられるのは……。」

「ごめんなさい。みんながやきもきしてて、それで道臣さんに白羽の矢がたっちゃったんですね。」

 そう言って千尋はやっとの思いで苦笑を浮かべた。

 風早、その名前を耳にするのはとても久しぶりで、久しぶりだったせいなのかはわからないけれどその名前は思った以上に千尋の心を激しく揺さぶって…

 何か話していないと泣き出してしまいそうだった。

「そういうわけでは……その…わかってはおりますが…。」

「ごめんなさい……ちゃんと……ちゃんと考えておきますから、今は……もうちょっとだけ、時間を……もらえませんか?」

 そういう千尋の声は震えていて、目には涙さえ浮かんでいて、道臣はもう何もいえなくなってしまった。

 それどころか、側にいることさえつらくて、道臣はもう何も言わないままただ黙って一礼すると部屋を出て行った。

 残された千尋は窓に駆け寄って夜空を見上げた。

 空には満天の星、風はなし。

 静かな夜のせいでさっきの道臣の言葉がこだまする。

「風早…。」

 あらためて口に出してみればその名前はあまりにも愛しくて、あまりにも寂しくて…

 もう二度と会えないなら、あの時、ちゃんと好きだと伝えるのだった。

 最後に一度だけでいいから抱きしめてもらえばよかった。

 あれからどれだけもう風早には会えないのだと自分に言い聞かせても、自分の中にある想いはつのるばかりで…

 ただ風早のことが大好きでいたいだけなのに今はもうそれも許されないかもしれない。

 千尋がとうとう我慢できずにその瞳から大粒の涙を流したその時、空に一つの大きな星が流れた。

(かなうことならどうか、風早にもう一度会えますように。それがかなわないならせめて、風早のことを想い続けていさせてください)

 千尋は流星に自然とそう祈っていた。

 風早もこの星空を今一緒に眺めていてくれたらいい、そう思いながら。





管理人のひとりごと

どうしても孤高の書EDが気になってしかたなくて書いてはみたものの、話が暗すぎて管理人もしんどかったという…
最初に書いた拍手SSがこれってどう?(’’)
と自分に突っ込んだり…
オリジナルでは非道なことを平気でやりますが(爆)二次創作では避けたい、管理人も幸せでいたいの!と思っています…
ので、あんまりこういうのはこの先ないだろうな、と思います(’’)







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