
風早は窓から外を眺める小さな千尋を見つめていた。
窓から入ってくる風が千尋の金の長い髪をさらさらとそよがせている。
小さな背中は心細そうに見えて風早は溜め息をついた。
いつものことだが千尋はよく周囲から白い目を向けられる。
そして繊細な千尋はそれを鋭く感じ取って、風早にさえ何も言わずに一人傷ついて落ち込むのだ。
そういう時はたいてい千尋は窓から外を眺めて、風早に顔を見せてはくれない。
きっと泣きはしなくても泣きそうになっている自分の顔を風早に見せまいとしているのだ。
泣きそうな顔をすれば風早が心配するから。
それがわかっているから風早も無理に窓辺から離れろとは言わないようにしているが…
それでも千尋が一人で悲しんでいるとわかっているのに黙って放っておくことなど風早にはできない。
千尋の小さな背中はとても頼りなくて儚げで…
風早はそっと千尋の後ろに椅子を持って近づいて、椅子に座ると千尋の体を自分の膝の上に乗せてしまった。
後ろからすっぽり千尋の体を抱きしめて、驚く千尋に微笑んで見せる。
「綺麗な夕陽ですね。」
「風早?」
「いい天気で、綺麗な夕陽ですけど風は少し冷たいですからね。こうして俺が姫の椅子になっていれば寒くないでしょう?」
「…うん……。」
千尋は風早から夕陽へと視線を戻した。
空を真っ赤に染めて綺麗な夕陽が今にも沈もうとしていた。
「綺麗ですね、夕陽。」
「…うん…でも…綺麗だけど……。」
そこまで言って落ち込む千尋に小首を傾げて風早は千尋の顔をのぞきこむ。
「姫?」
「綺麗だけど、ちょっとだけ…寂しい…。」
そう言ってうつむく千尋の背を風早は優しく抱きしめた。
「寂しくなんかないですよ。陽は落ちたらまた明日の朝、東の空から昇ってくるんです。だから、寂しくなんかないですよ。」
「風早…。」
「姫には俺がいますから、寂しくなんかないですからね。」
急にそういわれてはっと驚いて、千尋は思わず振り返った。
そこには風早の優しい笑顔が…
「風早…大好き。」
そう言って千尋はきゅっと風早の首に抱きついた。
そんな小さな千尋が愛しくて、風早もにっこり微笑みながら千尋の小さな体を抱きとめる。
「俺も、姫が大好きですよ。ほら、もうすぐ陽が沈みます、陽が沈んだら今度は星が綺麗ですよ。」
「うん。」
千尋はにこりと微笑んで、風早の膝の上に座り直した。
背中に大好きな人のぬくもりを感じながら、千尋は夕陽が沈んでいくのを眺めていた。
そして風早は、千尋が疲れて眠ってしまうまでその小さな体を両腕で包んでいた。
管理人のひとりごと
風早の背中は大好きですが(笑)遙か1でずっと頼久さんの背中を書いていたので、今回は視点を変えて千尋の背中を書いてみました。
千尋の小さな背中を見てたら風早は守りたいっ!って思っただろうなと。
また、小さい千尋は凄く色々なことを一人で背負って一人で悩んでそうだしね。
千尋を甘やかしたい風早はこれからももっと書きたいなって思いました(^^)
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