風早は一人、風に吹かれている。

 夜空は晴れ渡っていて、星が綺麗だ。

 振り返って視線を上げればそこには千尋の部屋の窓がある。

 そんな場所に立って風早は風に吹かれていた。

 夜中に急に目が覚めて、自分の息遣いが聞こえるほどの静寂の中に半身を起こせば自分がどこにいるのかがわからなくなって…

 どうしても愛しい人の姿を見たかったけれど、時刻は深夜。

 まさか部屋を訪ねることもできなくて、こうしてその愛しい人の窓の下でたたずむことになった。

 脳裏には今まで経験した色々な時空の記憶が駆け巡って、自分が今、どの時空のどこにいるのかがわからなくなりそうだった。

 愛しい姫の姿を一目見れば安心するのだろうが、それは朝になるまでかなう望みではなくて溜め息をつくしかできない。

 もし、今、自分がいるのが愛しい千尋を失う世界なのだとしても、このまま愛しい気持ちを胸に抱いて想い続けていればいつかは千尋にこの想いは届くのだろうか。

 自分の命はおろか、たとえ世界が滅んだとしてもこの想いだけは消えそうにないのに…

 風早は深い溜め息をついて星空を見上げた。

 愛しい姫は今、安らかな眠りの中に在るのだろうか、それとも本当はもう自分の側になどいはしないのだろうか…

 もしや、こうしている自分こそが夢でもう千尋には会えないのではないだろうか…

 そんなことばかりが脳裏に浮かんで、風早はただ星空を睨むように見つめるしかできない。

「風早?大丈夫?」

 急に聞こえた声に風早は驚いて目を向けた。

 そこには寝巻きに一枚布を羽織っただけの千尋が、心配そうに立っていた。

「千尋?」

「急に目が覚めて、窓から外を見たら風早が立ってて…なんだか風早が消えちゃいそうな、そんな気がしたから慌てて下りてきたの。そしたら風早がなんだかすごくつらそうに空を見上げてて…。」

 心の底から心配そうな千尋をじっと見つめて、風早は何も言わずにその小さな体を抱きしめた。

 この腕の中にある千尋のやわらかさもぬくもりも確かに本物。

 そう全身で感じ取ってやっと安堵の溜め息をつく。

「風早?どこか具合でも悪いの?」

「…いいえ……いつまでも千尋の側にいたいなと…そう思ってただけです。」

「うん、ずっと一緒にいようね。二人で幸せになろうね。」

「千尋はそう言ってくれるんですね。」

「もちろんだよ。風早と一緒じゃないと幸せになんかなれないんだから。」

「……有難うございます。」

 自分を見上げる優しい千尋の瞳をじっと見つめて、その額にそっと口づけて…

 それから風早は再び千尋を優しく抱きしめた。

 優しく静かに抱き合う二人をただ、星々だけが見下ろしていた。





管理人のひとりごと

元麒麟だからね!(マテ
龍神のおかげで何度も何度も色んな歴史を見てこなくちゃいけなかった風早だから、こんな夜もあるかなと。
でも、元麒麟だからね!(オイ
千尋とはテレパシーでつながってるんだよ!だから風早がつらい思い出のせいで眠れない時は千尋が気付いてくれるんだよ!(>▽<)←妄想炸裂
いつもは千尋を守っている風早だけど、実は風早の心は千尋が守っていますっていう感じ。
が、読み取ってもらえたら嬉しいです。





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いくつもの時空を越えて