
千尋はゆっくり目を開けた。
目を開けて自分が泣いていることに気づいた。
深い深い闇の中で大切な人を失った夢を見た。
夢の中で泣いていたのを思い出しながら涙をぬぐう。
どうやら泣いていたのは夢の中の自分だけではなかったらしい。
千尋は悲しくて、それが夢だったとわかっていても不安で寝床から立ち上がると扉へ向かって歩き出した。
時刻は夜中。
誰もが眠っている時間だとわかってはいる。
それでも彼の姿を見なければもう眠れそうにもなくて…
会いたいその人の部屋へ行くために扉を開けて、そして千尋は驚きのあまり息を呑んだ。
「風早…。」
まさに今、会いに行こうとしていたその人物が目の前に立っていた。
その顔には困ったような苦笑が浮かんでいる。
「どうして…。」
「なんだか千尋に呼ばれたような気がしたんで、気になって…すみません、こんな時間に。」
「ううん…。」
千尋は明かりを手に立っている風早に思い切り抱きついた。
ああ、この人はここにいて、ちゃんと息をして生きている。
そう全身で感じてやっと安心する。
「千尋?」
慌てながらも自由になる片手で千尋を抱きとめて、風早は優しく千尋の背を撫でた。
「どうかしたんですか?」
「恐い夢を見たの、風早が…いなくなっちゃう夢…。」
「それで、俺に会いに来てくれるところだったんですね。」
「うん……こんな時間にごめんね。」
「いえ、じゃぁ、俺のカンも外れてたわけじゃないんですね。よかった。」
そう言って風早はギュッと千尋を抱きしめて、そのまま部屋の中へ入ると後ろ手に扉を閉めた。
「まだ夜明けまでは間がありますよ。」
「うん、だけど風早の顔を見ないと眠れない気がして…。」
「千尋……。」
風早は明かりを近くに置くと、両腕でしっかり千尋を抱きしめてからその小さな体を横抱きに抱き上げた。
「風早?」
驚いた千尋にただ微笑だけを見せて、風早は千尋の体を優しく寝床に横たえた。
「千尋が眠るまでここにいます。絶対に離れませんから安心して眠ってください。」
「風早…うん、有難う。」
そう言って微笑む千尋の顔にはまだ涙の跡が残っていて…
風早は千尋の手を優しく両手で包み込んで微笑んで見せた。
つらい戦いの日々があったから、その時に負った心の傷はなかなか癒えないだろうけれど、それでもこうしていればきっと千尋は安心してくれる。
そう信じているから…
風早は千尋が寝息をたて始めてもずっと、その小さな手を握り続けた。
管理人のひとりごと
風早は管理人の中では添い寝できる人、です(’’)(マテ
相手が千尋ならたとえ恋人でもおとなしく添い寝できる、それが風早。
不埒な真似はしません(w
アシュには無理そう(’’)(コラ
どんな時も風早は千尋の側に優しく寄り添っているんですっていうのが書けてるといいなぁ。
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