
千尋は夜風に吹かれていた。
最近では珍しく寝付けなかったのは少し寝苦しいくらいの気温だったからかもしれない。
だから少し夜風に吹かれてから寝ようと思ったのだ。
空には綺麗な星が輝いていて月も下弦の月が美しい。
「千尋?どうしたんです?こんな時間に。」
かけられた優しい声に振り返ってみればそこに立っていたのはいつもの微笑を浮かべた風早だ。
千尋はつられるように微笑んで星空へと視線を戻す。
「なかなか眠れなくて星を見てたの。」
「ああ、今夜はちょっと暑いですね。」
そう言いながら風早は千尋の方へと歩み寄る。
「静かだねぇ。」
「向こうの世界だと夜中でも何かしら音がしますから。こんなふうに静かなことはないですからね。」
「そうだよねぇ。今までは戦いだ政務だであんまり気づかなかったけど、こっちは昼間だと風の音とか川のせせらぎとか人の笑い声とかが凄く聞こえて、でも夜は凄く静かだよね。」
そう言って千尋はすーっと深呼吸をする。
静かな夜の大気を吸い込んで千尋は苦笑した。
「でも、あんまり静かすぎて、こんなふうに夜中に一人でいるとちょっと淋しい。」
突然千尋の背中がふわりと温かくなって、あっという間に千尋は風早に後ろから抱きしめられてしまった。
あんまりにも急なできごとで、しかも今は月明かりしかない夜で、千尋は思わず硬直してしまう。
「か、風早?」
「こうしていれば淋しくはないでしょう?」
「そ、それはそうだけど…。」
淋しくはないけど緊張するかもしれない…
でも離れてとはとてもいえなくて…
「でも、ほら、今、夜だし。」
「夜だから淋しいんでしょう?」
「そうなんだけど…。」
これはしばらくは解放してもらえそうにない。
そう思って千尋が観念すると、風早はあっさり千尋を解放して、驚いて振り返った千尋ににっこり微笑んで見せた。
「いいこと思いつきました。千尋が眠るまで俺が側にいて話し相手になりますよ。」
「へ?」
「ここでこうしていても眠くはならないでしょう?」
「それはまぁ…。」
「さ、部屋に戻りましょう。千尋が眠くなるまで俺が側にいますから。」
「えっ、ちょっ、それは…。」
それじゃなんだか子守をされているみたいだし、もしそうではないとするとそれは恋人と夜中に寝室に二人きりになるということで…
どっちに転んでも千尋には予想だにしない展開で慌てているのに、風早はいいことを思いついたとばかり上機嫌で…
でもどうやっても千尋は風早に逆らえなくて、結局、千尋は一人であたふたしながらもそのまま風早に手を引かれて寝室に入れられてしまうのだった。
管理人のひとりごと
これはもう完全に管理人がただ単純に夜のシーンが書きたいと思って書いたものです(’’)
遙か1は頼久さんが警護をしていた関係上、夜のシーンが書きやすいんですが、4はなかなか…
ってことでやっぱり保護者風早なら書きやすいかなと(笑)
ただ、千尋にとっては保護者なんだか恋人なんだかっていう感じで複雑そうです(w
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